いつもより細い便(うんち)が出る
一般的に正常な便は、直径が3~4cmあります。便の量・硬さによってはこれより細くなることもありますが、細い便が続いているといった場合には、大腸がんや過敏性腸症候群、腸内フローラのバランスの乱れなど、何らかの病気・異常を疑う必要があります。
特に、腹痛、残便感、便秘・下痢、血便など、他にも症状がある場合には、疾患のリスクが高まります。気になる症状が続く場合には、お早目に当院にご相談ください。
おならもよく出るようになった
まず、おならは大腸がんとは関係ありません
「おならが増えた」ことで、大腸がんを心配される方がよくいらっしゃいます。基本的に、大腸がんとおならには直接的な因果関係はありません。
大腸がんによって便秘・下痢が続き、これによりおならが出やすくなるというケースもありますが、実際には過敏性腸症候群や腸内フローラのバランスの乱れなどが原因となっていることが多いため、「大腸がんだったらどうしよう」と過度に心配する必要はありません。
おならが増えたと感じた時にも、慌てず、まずは当院にご相談ください。
更年期になると
細いうんちになる?
排便の際には、肛門の筋肉が使われます。加齢などを原因として筋力が低下すると、便が出づらくなり、便が細くなるということがあります。
特に更年期は、エストロゲンの分泌が低下することで自律神経のバランスが崩れ、腸が正しく働かず、これにより下痢・便秘・残便感・便が細くなるといった症状が現れやすくなります。
便が細くなる原因と
考えられる病気
便は、腸管が一部狭くなっていること、便がやわらかいことなどを原因として細くなります。
また、切れ痔の発症と治癒を繰り返す中で肛門が狭くなり、便が細くなるというケースも見られます。
便が細い状態が続く場合には、以下のような病気が疑われます。
過敏性腸症候群(IBS)
過敏性腸症候群とは、便秘・下痢・腹痛・腹部不快感などの症状があるものの、内視鏡検査や血液検査では明らかな炎症が認められない病気です。どの症状が強く現れるかは、症例によって異なります。
長くストレスが原因と考えられてきましたが、近年の研究によって、腸内フローラのバランスの乱れを伴うことが多いと分かっています。過敏性腸症候群患者の腸内では、特にLactobacillus、Villonellaといった菌が多い傾向にあります。
大腸がん
大腸がんでは、ある程度進行してから、血便、下痢、便秘、便が細くなる、腹痛などの症状が現れます。腸管の狭窄、腸壁のダメージ、がんからの出血などにより、上記の症状が引き起こされます。初期症状に乏しいことから、早期発見のためには定期的な大腸カメラ検査が重要になります。
大腸ポリープ
大腸粘膜に発生するポリープです。ポリープによって腸が一部狭くなり、便が細くなります。ポリープから出血し、血便が見られることもあります。大腸ポリープの一部は、将来的ながん化のおそれがあるため、大腸カメラ検査で見つかった場合には積極的な切除が推奨されます。
切れ痔
下痢、便秘・硬い便、いきみなどを原因として、肛門の皮膚が切れてしまう病気です。この傷ができては治りを繰り返していると、皮膚が硬く、肛門が狭くなり、細い便の原因となります。その他、痛み、血便、排便困難などの症状を伴います。
潰瘍性大腸炎
下痢や下血、腹痛を伴う病気です。クローン病と共に炎症性腸疾患に分類され、難病の指定を受けています。
潰瘍性大腸炎は、比較的若い世代に発症しやすい病気で、強い腹痛や下痢によって仕事など日常生活に支障をきたすケースが少なくありません。はっきりとした原因は解明されていませんが、腸内フローラのバランスの変化が発症に影響しているものと考えられます。
腸内フローラのバランスの
乱れ
腸内フローラとは、腸内に存在する複数の種類の細菌のことを指します。過労、ストレス、食事の偏り、運動不足、睡眠不足などを原因として腸内フローラのバランスが乱れると、便秘や下痢、便が細くなる等の症状が現れやすくなります。
