ANAC療法とは
ANAC(Augmented N-Acetylcysteine)療法は、N-アセチルシステイン(NAC)を基盤とし、体内の解毒・抗酸化システムを内側から支えることを目的とした補助的治療です。
NACは体内で強力な抗酸化物質であるグルタチオンの材料となり、肝臓・腸・細胞内における解毒反応や酸化ストレス調整に深く関与しています。
当院ではANAC療法を、「解毒がうまく回らなくなっている状態」そのものに着目した治療の一部として位置づけています。

当院がANAC療法を検討する主なケース
以下のような背景をもつ方が対象となります。
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有機酸検査で解毒・抗酸化系の弱さが示唆される方
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SIBO(小腸内細菌異常増殖症)の症状があり、治療反応が鈍い方
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慢性疲労、ブレインフォグ、原因不明の不調が続く方
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ワクチン接種後から体調が戻らないと感じている方(ワクチン後遺症)
※すべての方に適応となるわけではありません。診察・検査結果を踏まえ、慎重に判断します。
SIBOと解毒能低下の密接な関係
SIBOでは、腸内細菌の異常増殖により、
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内因性毒素(アンモニア、アルデヒド類、硫化水素など)
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腸管由来エンドトキシン
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慢性的な酸化ストレス負荷
が増大しやすくなります。
その結果、
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グルタチオン消費の亢進
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肝臓・腸での解毒処理能力の低下
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有機酸代謝バランスの破綻
が生じ、「解毒が追いつかない状態」に陥ることがあります。
このような場合、除菌や食事療法だけでは症状が安定しにくいケースも少なくありません。
ANAC療法は、この SIBO × 解毒能低下 という状態を内側から支える補助的アプローチです。
ANAC療法で期待される役割
1. グルタチオン産生を介した解毒・抗酸化サポート
ANACは体内でのグルタチオン合成を支え、解毒フェーズⅡの補助、酸化還元バランスの安定化、慢性的な疲労感・頭重感の軽減に寄与する可能性があります。これは、SIBOや慢性炎症により内因性毒素負荷が高い方にとって重要な視点です。
2. ワクチン後遺症・慢性症状への補助的アプローチ
近年、ワクチン接種後に、
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倦怠感
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ブレインフォグ
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集中力低下
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自律神経症状
などが長引くケースが報告されています。
ANACは、抗酸化・解毒の観点から、これらの状態を補助的に支える可能性が示唆されています(※基礎研究レベル)。
当院では、標準医療を否定するものではなく、補完的選択肢の一つとして慎重に位置づけています。
ANAC × クロレラ製剤併用による解毒サポートの最適化
当院ではANAC療法を行う際、必要に応じてクロレラ製剤を併用することで、解毒サポートの相乗効果を高める方針を取っています。
それぞれの役割の違い
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ANAC
→ 体内(細胞内)で解毒を回す・抗酸化を支える -
クロレラ
→ 腸管内で毒素を吸着し、再吸収(腸肝循環)を抑え排泄を促す
この組み合わせにより、
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・解毒途中で生じた代謝産物の滞留を防ぐ
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・好転反応や治療中の不調を軽減する
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・治療の継続性を高める
ことを目的とします。
SIBO・解毒能低下の方における併用の意義
SIBOや解毒能が低下している方では、
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・胆汁とともに排泄された毒素が腸で再吸収される
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・解毒途中の中間代謝物が体内に滞留する
といった 「解毒が完結しにくい状態」 が起こりがちです。
ANACで解毒経路を回し、クロレラで腸管側から受け止めることで、解毒全体の流れをスムーズにすることを目指します。
ANAC+クロレラでSIBOに伴うガスや膨満感が著名に改善する例も複数当院で経験しています。
治療の進め方
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開始用量:少量から開始し、体調反応を見ながら調整
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治療期間:1〜3か月を一つの評価単位
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併用治療:
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SIBO治療
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栄養療法
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生活習慣・ストレス評価
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ANACやクロレラ単独ではなく、全体治療戦略の一部として組み込みます。
安全性と注意点
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消化器症状(吐き気、腹部不快感、下痢など)が出ることがあります
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体質や腸管過敏が強い方では慎重な導入が必要です
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肝・腎機能障害、他薬剤との相互作用に注意が必要です
必ず医師の管理下で行います。
よくある質問
Q. SIBOがあれば必ずANACを使いますか?
A. いいえ。有機酸所見や全身状態を踏まえて判断します。
Q. 除菌治療の代わりになりますか?
A. なりません。ANACは解毒・抗酸化を支える補助的治療です。
Q. クロレラは必ず併用しますか?
A. 体質・腸の状態を見て必要な場合のみ使用します。
オンライン診療にも対応しています。
ANAC療法をご検討されている方はこちらより
