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小腸内細菌増殖症(SIBO)とは?

2022年9月 8日

小腸内細菌増殖症(SIBO)とは

私たちの大腸には多くの腸内細菌が存在し、健康に大きな影響を及ぼしていることが知られるようになりましたが、本来栄養の吸収を担う小腸内にはあまり多くの細菌は存在しません。

しかし昨今、様々な要因から小腸内細菌が増殖し、豊富な栄養を分解して多量のガスを産生してしまうという方が増えています。この状態を小腸内細菌増殖症(SIBO:シーボ)と呼んでいます。

小腸は通常、腸液などの液体で満たされガスは少ない状態ですが、発生した多量のガス(メタンや水素ガス、硫化水素など)により著しく拡張した時にお腹がの膨満感が顕著になります。

まだ認知度の低い疾患概念

本邦でも上下部内視鏡(胃カメラ、大腸カメラ)、腹部超音波検査、腹部CTなどで検査しても原因不明の腹痛、便秘、下痢、腹満感、ガスだまりを訴える人の中に、かなりの割合でSIBO(Small Intestinal Bacterial Overgrowth)が存在することがわかってきました。ある研究によると過敏性腸症候群(IBS)と診断されている人の約80%にSIBOが合併するとも言われています。

世界的にも研究が進んでいますが、日本での認知はまだ不十分な疾患概念であり、消化器病専門医の間でさえ気づかれていない場合もも少くないと思われます。

SIBOの原因

SIBOの原因は、本来小腸内への雑菌侵入を防いでいる胃酸の減少(摂食不良や鉄欠乏によるエネルギー不足、ピロリ菌感染、胃酸抑制薬の乱用)、膵液・胆汁の減少(肝機能低下、胆のう摘出、慢性膵炎、ストレス)、さらには腸管蠕動の低下(糖尿病、低血糖による過緊張)、その中でもMMC(Migrating Motor Complex)と呼ばれる大きなお掃除蠕動の障害や腹部手術後の癒着、大腸とのつなぎ目にある回盲弁の機能低下などが考えられています。

SIBOの関連疾患

SIBOでは小腸粘膜は多くの場合炎症を伴い、リーキーガット (腸漏れ)を併発しているとされ、腹痛、便秘、下痢、腹満感以外にも栄養の消化吸収不良からくる様々な全身症状を併発することもあり、鬱症状、不妊、非アルコール性脂肪肝疾患(NASH)、線維筋痛症などとの関連も指摘されるようになりました。

SIBOの検査

当院で行える検査は以下の通りです。
SIBOを診断するにあたりゴールドスタンダードは内視鏡により十二指腸液を採取し、十二指腸内の細菌異常増殖を確認する方法ですが、その侵襲度から内視鏡を使わない検査が行われることが多くなっています。(当院では内視鏡検査は行っていません)

SIBO呼気検査 当院ではラクツロースを使ったSIBO呼気検査を導入しており、小腸内でのメタンガスと水素ガスの濃度を調べています(現在のところ硫化水素は測定できません)。
尿中有機酸検索:カンジダ等の真菌の増殖の有無を確認するために尿中有機酸検査を行い、治療計画を立てる際の一助としています。
腸内フローラ検査 腸内細菌のメタゲノム解析(DNAによる詳しい検査)技術の進歩により、腸内フローラ検査が行えるようになりましたが、SIBOでは腸内細菌の種類やバランスが乱れていることも多く、腸内フローラ検査をすることで今後の治療効果の予測や食事療法のコツなどをつかむことが可能になってきました。
GI-MAP 新しい腸内環境の検査で、ゲノム解析による腸内細菌検査以外に、消化能力や短鎖脂肪酸、微小な炎症など幅広い腸内環境を評価するマーカーが収載されています。

SIBOの治療

SIBOの治療としては、小腸内の細菌を過剰に増殖させないような食事療法:低FODMAP食が注目されています。
低FODMAP食では
①単糖類・二糖類
②オリゴ糖
③発酵食品
④ポリオール(糖アルコール)
を一定期間控えます。

当院では低FODMAP食に加え、天然抗菌ハーブを使い異常増殖した細菌を抑制しながら腸内細菌のバランスを変えていく治療を取り入れています。またカンジダなどの信金の異常増殖(SIFO)を伴うこともあり、抗菌ハーブの内容を変えながら数クール(1クールは約2ヶ月)行うこともあります。

カンジダなどの真菌増殖を伴わず、SIBO呼気検査で水素ガスのみの増加を認める場合は最初からリファキシミンなどの非吸収性抗生物質を投与し、積極的に除菌を試みる場合もあります。

いずれの場合も発症要因となっている個別の背景因子(低胃酸、ストレスなど)の解決を図りながら根治を目指します。特に当院ではストレスに伴う自律神経のバランス調整などにも注目しながら治療を行っています。

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