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IBSと脳腸相関

2025年5月24日

私も学生のころテストが近づくとよくお腹をこわしていましたが、IBSではストレスレベルが高くなると症状が悪化することがよく知られています。
IBSの病態に関している大きな軸が「心理的・社会的ストレス」「内臓知覚過敏」「消化管運動障害」の3つとされています。

そのほかに遺伝的要因、腸内細菌叢、幼少期の環境、粘膜透過性の亢進など多くの要素が複雑に絡み合ってIBSの病態を形成しています。
上記の大きな3つの軸には「脳腸相関」と呼ばれる脳と腸の間で行われる相互的なシグナル伝達が大きく関与していますが、中でもストレスへの反応として重要な役割を果たしているのが、視床下部ー下垂体ー副腎軸(HPA軸)と呼ばれる一連の生体反応です。
IBSでは、このHPA軸の反応が通常と異なっており、消化管運動障害の原因にもなっています。
ストレスを感知すると視床下部が反応し、室傍核より副腎皮質刺激ホルモン放出ホルモン(CRF)が分泌されますが、CRFは大腸粘膜の肥満細胞からヒスタミンやロイコトリエンなどの炎症に関連する科学物質を放出させ、その結果、粘膜透過性を亢進させ、内臓知覚過敏を生じさせますが、IBSではしばしば過剰な反応を生じるため、さまざまな腹部症状の原因となっています。これはIBSにヒスタミン不耐症を合併しやすい要因の一つともなっています。
さらに、IBSの病態に深く関わっている生理活性物質の一つが「セロトニン」です。セロトニンは「幸せホルモン」として知られる情動を司る神経伝達物質ですが、その約9割が主に消化管粘膜にある腸クロム親和性細胞で生成され、消化管の運動、知覚、分泌などに大きく関係しています。セロトニンが欠乏すると内蔵知覚過敏が悪化するとともに不安が惹起されることが知られています。
IBSの治療においては、セロトニンの受容体に対する作動薬が用いられますが、下痢型では5-HT3拮抗薬(イリボー、ラモセトロン)が使われたり、便秘型では5-HT4作動薬(ガスモチン、モサプリド)が使われたりします。また抗うつ薬の一種であるセロトニン再取り込み阻害剤を投与すると脳の更新した活動が抑えられ腹部症状が改善も改善します。
このように、IBSには脳をはじめとする中枢神経と腸管との密接な相関が関与しており、腹部症状の背景にはストレス耐性の脆弱性、抑うつ、不安障害などが存在することも多く経験されることです。
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